Cipher Frontier • Issue 56
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第56回 特別企画! 川出Pへ突撃インタビュー!
みなさん、こんにちはー!!!!!!!!
サイファ第22弾「英雄たちの凱歌」の発売まで、あと1カ月を切りましたねー!
すべてのファイアーエムブレム作品から、キャラクターが登場するのであったな? 終幕を飾るに、ふさわしいものになっていそうだ。
これまで出た情報だけでも、なかなかいい感じのカードが揃ってるみたいだぜ?
バル! 予約と、おサイフの準備はできてるの?
はい。勿論です。あとは発売日を待つばかりでございます。
というわけで、最終弾発売直前のサイファだけど……
今回は、特別企画として、川出プロデューサーにインタビューをしちゃいます!
おおーっ!!
開発者が語る、スタッフしか知らない裏事情…
うふふ、何が聞けるのか楽しみですね。
それではお呼びしましょう。川出P! どうぞー!
皆さん、こんにちは。ファイアーエムブレム0(サイファ)のプロデューサーの川出です。
お久し振りね。じゃあ、さっそくいろいろとお話を聞いていこうかしら。
サイファが発売して5年以上経ったわけですが…まずは、これまでを振り返って、感想をお願いします。
ゲームの制作やイベントなど、絶えずいろいろなことをしていたので、あっという間に過ぎた気がします。でも、小学生だったプレイヤーの方が高校生になっていたり、高校生だった方が社会人になっていたりしていて、やはり長い期間続けてきたのだな…と感じます。
準備期間を含めると、もっと前からサイファって始まってたんですよね?
プロジェクトのスタートは、『覚醒』の発売から半年後くらいだったと思います。そこから数えると、7年以上サイファに関わっていたことになりますね。
サイファが当初どのようにスタートしたのか興味があるな。是非その話を伺いたい。
『覚醒』の発売の後、ファイアーエムブレムをさらに盛り上げるために新しい商品を作りたいという話が社内であったんです。その打ち合わせの場で、それなら「TCG(トレーディングカードゲーム)」はどうかという提案をしたら、「じゃあ、川出君やって」と言われて、プロジェクトがスタートしました(笑)。
あらら、提案していきなりかよ? じゃあそこから開発も始まったのか?
最初はTCGが新商品として適切かどうかを判断するところから始まってます。ゲームのルールなどを作るようになったのは、そこからずっと後のことです。
新商品として適切かどうか…そんなところから考えるのね? なんだか難しそう…
やはり、いろいろな困難があったのではございませんか?
はい。まず、身の周りにTCGに詳しい人間がいなくて苦労しました。TCGって、ゲーム部分を作るだけじゃなくて、イベントやプロモーションなどを含めて「運営」をしていくことが大事で、そういったサービス型の商品を作ったことがあるスタッフが、周囲にはいなかったんです。
TCGはゲームを作るだけではなく…運営が必須…
私自身、TCGを遊んでいたことはあったのですが、それはけっこう昔で… まずは最新のTCGの情勢や運営のやり方を知るために、いろいろな人のところに直接お話を聞きにいきました。
地道なお仕事ですね。その時私がいれば、ワープでお手伝いできたのに…
大変でしたが、色々な人からいただいた意見は参考になりました。あと、ラッキーだったのは、任天堂さんにTCGが好きな方たちがいて、その方たちにたいへん助けられました。そのようないろいろな方の助力があって、サイファの企画を進めることができたんです。
じゃあ、その後はいっきにサイファができていったんですね!
そうなんです! と、言いたいところですが…肝心の「ゲームの遊びの部分」もなかなか決まらなかったんです。いろいろなルールを試してはボツにするということを、長い期間繰り返していました。
産みの苦しみという奴だな… ボツになった案にはどんなものがあったのだ?
「隣り合うキャラクターによって使えるスキルが変わるルール」や、剣道や柔道の団体戦みたいに「チームのキャラクターが1対1ずつ戦っていくルール」、「お互いの陣地にキャラクターたちが攻め入っていくルール」なんかがありました。
ほぉ、そっちもなかなか面白そうじゃねえか!
あと、「キャラクターとキャラクターの間に『知り合い』とか『友情』とかのカードを置くと能力がアップして、さらに関係性を『愛』や『結婚』まで育てていくルール」なんてのもありました(笑)。
そうしてたどり着いたのが、今のルールなのね。
最終的に、どうしてこのルールになったのでございますか?
「ファイアーエムブレムらしさ」と「遊びやすさ」にこだわって、今の形になりました。
「ファイアーエムブレムらしさ」…「遊びやすさ」…情報が抽象的…
カードゲームはビデオゲームに比べると、当然ですが、できることが限られるんですよね。ただ、そうした中でも、「射程を考慮して戦術を立てる」とか「倒せると思ったけど攻撃が外れる」といったように、「ファイアーエムブレムを遊んでいる!」と感じられる要素を抜き出し、できる限り遊びに取り入れるようにしました。
さらに、ビデオゲームは計算をコンピュータがやってくれますが、カードゲームは人間がやらなくてはいけない。ですので要素をしぼっていく必要もあったんです。例えば、ビデオゲームで特徴的な「武器の三すくみ」の要素も、毎回処理するとゲーム進行がスムーズにいかなかったので、結果的には省きました。
いくら面白くても、難しかったり、時間がかかったら、遊ばなくなってしまいますものね。
その通りです。そのバランスが大事なんです。
そうした工夫を経て完成し、そして発売となったわけですね。
苦労が報われて、一安心ですね!
いえ…発売後も大変でした。発売しても3カ月後には次の弾が発売されて、それが繰り返されるので、休む暇がなくて…
エ…エンドレス…
あと、商品以外も、大会のサポートや、ホームページやツイッターの更新、体験会等のイベントや生放送の配信、グッズの製作など、とにかくサイファは、やることが山盛りでしたね。
でもスタッフが一生懸命にがんばってくれたので、なんとか最後の第22弾までペースを崩さず製作することができました。
体験会といえば、発売間もないころは、かなりたくさん開催されていたような…?
お客さんにサイファという商品の楽しさを知ってもらうには、実際に遊んでもらうのが一番ですから、全国各地で体験会を実施しました。特に最初の半年は、1日に2~3軒、ほとんどの土日祝を使って全国の販売店舗さんを巡りました。
ほほう…移動距離がスゴいことになってそうだな!
そうそう、体験会などでお客さんと対戦したときに楽しんでもらえるよう、開発室で「楽しくプレイする練習」なんてこともしてました(笑)。
こいつはいい! サイファの楽しさを知ってもらうためには、楽しくプレイしないとダメだもんな!
大変でしたけど、直接お客さんとファイアーエムブレムやサイファの話をできたのは貴重な経験でしたし、何より楽しかったです。体験会を始めとしたイベントでお客さんと会えたのは、サイファをやっていたからこその思い出です。
体験会以外のイベントで、印象に残っているものとかはあるのかしら?
お嬢様は、とりわけサイファ祭をお気に召しておられましたな。
サイファ祭も楽しかったですね。サイファのスタッフは、もともとビデオゲームの開発者ばかりなので、ああいった大きな会場を使ったイベントを自分たちで作り上げるのは、とても新鮮な体験でした。内容も、単にサイファの対戦をする場というだけでなく、すべてのFEファンが楽しめるものにしたつもりです。
ミニコンサートにトークショー…、ぬり絵…トントン大相撲…サイファ祭クエストにFEグッズ… 楽しい催しの数々…
夏に北海道から九州まで全国各地を巡るイベントツアーも行いましたが、すべての会場に来られたお客さんが何人もいらっしゃったのには驚きました。
ファイアーエムブレムのファンは、愛の深い方が多いですね。
そういった熱心なお客さんがいるからこそ、サイファを含め、ファイアーエムブレムは30年続けてこられたんです。本当に感謝です。
あたしは、サイファでは生放送が好きでした! 生放送のことも聞きたいです!
生放送も私たちには初めての挑戦だったので、試行錯誤の連続でした。画面に映っていないところでのハプニングもいろいろあって…よい経験ができました(笑)。
番組を作る上での、こだわりみたいなものはあったのかしら?
サイファ祭やツアーなどのイベントは、やはり近隣の方以外は移動して参加するのも大変じゃないですか。なので生放送では、どこに住んでいる方も気軽に参加できる「ネットを通じたイベント」というつもりで作っていて、ファンと「FEな時間」を共有することを目指していました。
たしかに、視聴者も出演者たちと一緒に番組を楽しもうという雰囲気があったな。イベントも生放送も、根底は同じということか。
視聴されていた方が、そう感じてくれていたらうれしいです。
ファイアーエムブレムに関わる声優さんやイラストレーターさんの話を聞ける貴重な場でもあったよな。
声優さんやイラストレーターさんの声を直接聞く機会ってあまりなかったので、番組を通じてそういった方たちをより身近に感じてもらうことができたのではないでしょうか。
わかったわ! つまりサイファは、単にカードゲームというだけでなく、イベントや生放送なんかも含めた、総合的なエンターテインメントってことね!
流石お嬢様。言い得て妙でございます。
はい。サイファの企画をスタートしたとき、単にカードゲームを作るってことだけでなく、ファイアーエムブレムのファンとファンをつなぐアイテムにしたかったんです。
これまでって、ファイアーエムブレムのファン同士が交流する場ってあまりなかったんですよ。サイファをきっかけに、昔の作品から最新作までの幅広い層の方たちの交流ができて、そして新たなファンも生んでファイアーエムブレムが盛り上がる。そういったことを目標に商品もイベントも生放送も作ってきたんです。
それは…実現されたの…?
サイファを通じて、ファイアーエムブレムの魅力の再発見と、人と人が交わることによる新たな楽しみ方を提供することは、達成できたのかな…と思ってます。
そういった様々な展開は、サイファの終了と共に一つの区切りを迎えますが、最後までお付き合い願えればと思います。
うふふ…ワタシもフィナーレまで、皆さまと楽しく過ごせればと思っています。
そろそろインタビューも終了の時間になってきました。最後に、この「サイファ最前線付近!」のページを見ている人たちにメッセージをもらえますか?
サイファとしての商品展開は次弾が最後となりますが、『ファイアーエムブレム』としては今後も新しい作品が出続けると思います。サイファが、そんな未来の作品たちをさらに楽しめるきっかけになっていたら大変うれしいです。第22弾には面白いカードがいっぱい収録されていますし、大会などのサポートも来年の3月まではしっかり続きますので、カードゲームとしてのサイファも、最後までバッチリ楽しんでください! 本日はありがとうございました!
ありがとうございましたー!!!!!!!!